Go-Tech事業は採択されてからが大変だった|補助金書類・報告業務のリアル|note記事を更新しました

※この記事はnoteから引用しています。


約1年前に公開したGo-Tech事業の記事。
私の勤務先でも先日、初年度の研究成果報告書の提出が完了し、補助金が無事入金されました。

Go-Tech補助金は難しい? 他の補助金との違いと申請の落とし穴【2025年採択実績のある診断士が解説】

前回の記事では「補助金申請のコツ」をお伝えしたのですが、他の補助金と同様に採択発表後の方がずっと大変でした。

今回は、採択後〜補助金入金までのリアルな実態をお伝えします。
これからGo-Techに申請しようとしている方、採択発表を待っている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

Contents

Go-Tech事業とは(簡単におさらい)

Go-Tech事業成長型中小企業等研究開発支援事業)は、中小企業が大学・公設試などの研究機関と連携して行う研究開発や事業化に向けた取り組みを、最大3年間支援する補助金制度です。

補助金額は3年間の合計で9,750万円と大きい分、手続きも複雑です。
前回の記事では申請〜採択までを解説しましたが、採択はゴールではなくスタート

研究開発を進めながら、大量の書類整理と報告に追われる日々…
むしろ、採択されてからが本番です。

採択後にやること:全体の流れ

採択の通知が届いてから、補助金が入金されるまでのロードマップはざっくり以下のようになります。

① 採択通知(令和7年度は6月26日)
② 交付申請(採択後すぐ)
③ 交付決定(提出書類が多くて時間がかかる)
④ 補助事業の実施(研究・物品購入など)
⑤ 中間報告
⑥ 年度末報告・1年目の事業終了(3月31日まで)
⑦ 確定検査(翌年度4月)
⑧ 補助金入金(翌年度4月)

問題は、②〜⑧のすべてに大量の書類が伴うことです。

ステークホルダーが多いと、調整だけで疲弊する

私が関わった案件では、関係者がこれだけいました。

・自社(主たる研究機関)を含む中小企業 × 2社
・大学 × 2校
・事業管理機関 × 1社
・アドバイザー × 1社

合計6つの組織が絡む中で、書類を提出・調整していきます。
しかも、組織によって提出する書類も異なります。

私自身は研究の中身には携わらず、調整役に回りました。

  • 誰がどの書類を、どのタイミングで提出するか。
  • 報告書の執筆は誰が担当するか。
  • 次はいつ、どこで集まるか。

ベテランの事業管理機関の方のアドバイスを受けながら提出物の管理を進めましたが、想像以上に大変でした。

特に大学は、学内で別途承認が必要な書類があるため、自社のタイミングだけで動くことができません。大学側の承認待ちで止まってしまう状況もありました。

採択から3か月、研究期間が削られた

今回の案件では、採択から交付決定通知を受けるまで3か月かかりました。
交付申請の書類集めに時間がかかったことが原因です。

この間は補助事業を始められないので、研究期間が3か月短くなります。

購入予定だった特注品は納期がギリギリになり、年度内に研究が完了できるかどうか、ずっとヒヤヒヤしていました

書類の多さは、想像の3倍くらいある

Go-Techで一番しんどかったのが、書類の多さです。

交付申請書類には出張の日程と金額まで入れる

交付申請の際に企業(主たる研究機関)が提出する書類は10種類ほど。
その中でもしんどいのが「参考様式」と呼ばれるExcelの経費一覧表です。

設備備品、消耗品、旅費、外注費などについて、以下の内容を細かく書いていきます。

・品名、型番、単価、合計金額、仕入先
・用途・どの研究サブテーマに該当するか
・納入予定時期

特に面倒なのは旅費の計算です。
出張者全員分、旅費を計上する全組織分、以下の内容を記載します。

・出張予定日
・出発地・経由地・目的地と出張目的
・旅費(鉄道・バス・飛行機・タクシー等交通費と、日当・宿泊費)の内訳
・新幹線利用の時期(繁忙期・閑散期等)、定期利用区間

交付申請の時点でここまで求められる補助金は初めてです。
気が遠くなるような作業でした。

物品購入費だけでこれだけ必要

また、物品を1つ購入するだけで、以下の書類がセットで必要になります。

・見積書
・設計・仕様書、カタログ等
・相見積書または選定理由書
・注文書
・納品書
・写真(据付前後)
・請求書
・銀行振込受領書などの支払証明書類
・使用簿
・取得財産等管理明細書台帳(取得単価50万円以上の場合)

1つの物品購入で10種類。これが複数の物品・複数の機関分、積み上がっていきます。

もちろん、購入した物品をどう研究に活かしたか、研究報告書にも反映させる必要があります。

人件費を申請する組織の負担は特に大きい

人件費を申請する場合、以下の書類の提出が必要です(主なもののみ列挙)。

【初回のみ提出するもの】
・就業規則
・年間営業カレンダー
・旅費規定

【毎月提出するもの(該当者全員分)】
・出勤簿またはタイムカード
・銀行振込受領書などの支払証明書類
・出張をしたことを証明する書類(議事録など)
・交通費の根拠を示す資料
・従事日誌
・賃金台帳または給与明細

特に「従事日誌」は、旅費規定・出張報告書・出勤簿と整合性がとれているか、細かくチェックされます。

複数の研究者が出張すると、管理する書類の数は膨大になります。

最終的に提出した電子ファイル数は100超え

今回の事業で提出した電子ファイルの数は、軽く100を超えています。しかもファイル名にも細かい指定があります。

数字の根拠が少しでも合わないと、担当当局から厳しく指摘されます。
経理関係の証憑はすべて保管・提出が必要です。

決算書や給与明細など、私に閲覧権限がない書類は経理担当者に協力して提出してもらいました。

中間・年度末報告、そして産休へ

補助事業の実施期間中は、中間報告と年度末報告があり、その都度資料作成が必要です。

研究内容に関するパワポ資料以外にも、事業化の見通しや企業の業績に関して記載する箇所があります。

私の場合、年度末報告のタイミングで産休に入ってしまいました

引き継ぎはなんとか間に合い、補助金も無事に入金されましたが、社内の書類作成が属人的になっていると引き継ぎの時点で詰んでしまいます。これは自分への戒めも込めて、強く反省しています。

採択後、スムーズに進めるための3つの教訓

最後に、Go-Tech事業を実際に進めてみて感じた教訓をまとめます。

① 「研究員」とは別に「管理員」を立てる

私の勤務先では、研究を進める人(研究員)と、書類・スケジュールを管理する人(管理員)を明確に分けました。結果的にこの体制が良かったです。

交付申請が遅れたこともあり、もし研究員が書類管理や他機関との調整まで行っていたら、研究に費やす時間がかなり削られてしまったと思います。

② 採択直後から書類管理の体制を整える

管理員である私が途中離脱(産休入り)してしまうのは、他の機関の方々にとっても衝撃だったと思います…。

書類管理が属人的にならないよう、交付申請が承認される前から、証憑の収集ルールをまとめておくべきでした。

実際、引き継ぎ書の作成だけでも膨大な時間がかかりました。

③ 初心者だけで進めるのは、相当ハードルが高い

事業管理機関の方がスケジュール管理や書類提出のリマインドをしてくれるとはいえ、実際に手を動かすのは自社の責任です。

私自身、事業計画書の作成や証憑管理の面では、中小企業診断士としての経験があったからなんとかなった部分が大きいと感じています。

Go-Techをスムーズに進めたいなら、コンサルタントや診断士に伴走してもらうことを強くおすすめします。

それでもGo-Techはやる価値がある

苦労話ばかり書いてしまいましたが、Go-Tech事業は中小企業にとって非常に価値のある制度です。

大学などの研究機関と連携することで、自社単独では実現できない技術開発が可能になります。補助額も大きく、採択されれば事業の大きな推進力になります。

実際に今回の事業で、自社を含む関連機関が「長年やりたいと思っていたけど、金銭面を理由に躊躇していた研究開発」が大きく進むきっかけになりました。

ただし、「採択されれば終わり」ではありません。
採択後の運用こそが、補助金活用の本質です。

申請を検討している方は、採択後の体制づくりまでセットで考えた上で挑戦してみてください。

そして、Go-Tech事業経験者の伴走支援が必要な方は、ぜひお声がけください!


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