補助金の意外な落とし穴「みなし大企業」とは? 中小企業診断士が解説|note記事を更新しました

※この記事はnoteから引用しています。


先日、補助金サポートの依頼をいただいてお客様のことを調べていたら、ヒヤッとしたできごとがあります。

そのお客様は、資本金も従業員数も中小企業の範囲内。
しかし、親会社との関係で「みなし大企業」に該当し、補助金の対象外だったんです。

今回は幸い、ヒアリングを始める前に気づいたのですが、事業計画書を練って、やっと申請できたと思ったら株主名簿を見られて対象外…なんて事態も起こりうるのが補助金です。

このnoteでは、補助金申請の前に必ず確認したい「みなし大企業」について、実際のケースをもとにまとめます。

目次

補助金申請を考えたらまず調べること

補助金を申請しようと思ったら、まず何を調べますか?

前回の省力化補助金のnoteでは、今やることを順番にあげていました。

  1. スケジュールを知る
  2. 自社が対象か調べる
  3. どんな設備投資に使えるかを知る
  4. いくら補助されるか確認する
  5. どんな要件をクリアすれば良いか知る

このうち、私が真っ先に確認するのは自社が対象かどうかです。

私自身、勤務先で補助金を申請してきた経験から、補助金の話が出るとまず「自社が対象か」を細かく見るクセがついています。

これは、中小企業診断士として支援する立場になっても同じです。

最近は公募要領をAIに読み込ませて要件を整理することも増えました。

でも、「自社が対象か」の最終判断は、株主名簿や役員名簿と突き合わせないとわかりません。

そもそも「中小企業」とは

補助金でいう「中小企業」は、業種ごとに資本金と従業員数で決まります。以下の基準のうち、どちらか一方を満たせば中小企業です。

中小企業の定義(業種別の資本金と従業員数)。出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第9回) 2-1. 補助対象者

たとえばサービス業なら、資本金5,000万円か、従業員100人がボーダーです。

この表のどれにも当てはまらない、資本金も従業員数も両方オーバーしている会社が大企業です。

「みなし大企業」とは

みなし大企業とは、資本金や従業員数は中小企業の範囲内だけど、大企業の支配下にあるために補助金の対象外とされる会社のことです。

定義は補助金ごとに違うので、公募要領での確認が必要です。
省力化投資補助金(一般型)では、主に次のどれかに当てはまると「みなし大企業」になります。

  • 同じ大企業1社が、株式の2分の1以上を持っている
  • 複数の大企業が、合わせて株式の3分の2以上を持っている
  • 大企業の役員・職員を兼ねる人が、役員の半数以上を占めている

ほかにも、これらに当てはまる会社の100%子会社(大企業の孫会社)や、課税所得が大きい会社も対象外になります。

さらに、この条件は申請時だけでなく補助事業の実施期間中にも及びます。

採択されたあとでも、該当すると判明すれば対象外になることがあります。

●みなし大企業の調べ方

調べるときは、公募要領で条件を確認したうえで、株主名簿(誰が何%を持っているか、親会社の規模や業種)と役員名簿(大企業の役員を兼ねている人がいないか)を見ます。

どちらも申請時の提出書類なので、事務局も同じところを見ていると思っておくと安心です。

A社のケース

ご支援のお問い合わせをいただいたのは、サービス業のA社。資本金5,000万円、従業員数100人以下なので、単体で見れば中小企業です。

ところが、A社の株式を100%保有する親会社B社は、資本金5,000万円超・従業員数100人超のサービス業。つまり、大企業でした。

そのため、A社は「同じ大企業1社が、株式の2分の1以上を持っている」に当てはまり、みなし大企業になってしまったんです。

A社のケース:親会社B社との関係

A社は補助金の対象外となるため、ご支援をお断りすることになりました。

親会社が純粋持株会社なら?

では、親会社が「純粋持株会社」の場合はどうでしょうか。
純粋持株会社とは、自分では事業をせず、グループ会社の経営管理を行う会社のことです。

日本標準産業分類と中小企業庁の対応表で見ると、純粋持株会社はサービス業にあたります。

つまり、親会社が純粋持株会社なら、資本金5,000万円・従業員数100人をともに超えているかどうかで大企業かどうかを判定することになります。

持株会社は資本金が大きくても従業員は少ないこともあるので、親会社の数字を一つずつ確認するのが大切です。

なお、上場している持株会社は、証券取引所の業種区分ではグループの主な事業で分類されている(サービス業ではない場合がある)ことがあります。

補助金の判定は日本標準産業分類が基準なので注意したいところです。

専門家は「安心材料」

補助金は「自社が対象か」の確認から始まります。資本金と従業員数だけでなく、株主や役員の構成もあわせて確認しておきたいところです。

  • 中小企業かどうかは、業種ごとの資本金・従業員数で判定する
  • 親会社が大企業なら「みなし大企業」で対象外になることもある
  • 親会社の業種(純粋持株会社など)によって判定基準が変わる

補助金に慣れていない方にとって、「みなし大企業」はなかなか気づけないポイントだと思います。

だからこそ、申請の準備に入る前に、専門家といっしょに申請条件を確認しておくと、大きな安心材料になると思います。

「そもそも対象か」の確認だけでも、相談してみる価値はあるのかなと思います。

不安に思ったら、ぜひ専門家に相談してみてくださいね。

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