SWOT分析が商工会セミナーの題材になった話【中小企業診断士が作ったスライドを公開】|note記事を更新しました

※この記事はnoteから引用しています。
先日、中小企業診断士として初めて商工会セミナーの講師を務めました。90分のセミナーの題材として選んだのは、診断士試験でおなじみのSWOT分析です。
SWOT分析だけで90分ももつの?! と思った方もいるかもしれません。この記事では、題材を選んだ背景、セミナー内容、お客様の反応をご紹介します。実際のスライドもお見せします!
1. この題材を選んだ背景
(1) 商工会の方からの依頼
埼玉県商工会連合会で専門家派遣登録をしていただいた直後、地元商工会の方から「工業部会(製造業の会員さん)のセミナーを企画するのでいくつかテーマを挙げてほしい」とご連絡がありました。
これまでセミナー講師の経験はありませんでしたが、得意分野で話せそうなテーマを3つ挙げてみました。
■セミナー案1
“勝手に営業してくれる! PowerPoint版「A4チラシ」の作り方“
■セミナー案2
“ダサいなんて言わせない!もっと伝わるBtoB向けプレゼン資料の作り方”
■セミナー案3
“補助金申請に役立つ!自社分析・環境分析のいろは”
商工会の方にはタイトルだけでなく、各テーマの概要・セミナー内容・参加特典もお知らせしました。
その後、工業部会の役員会で「補助金申請に役立つ!自社分析・環境分析のいろは」がテーマに選ばれ、90分のセミナーを依頼していただきました。
補助金に関するセミナーは頻繁に開催されているのでありきたりの題材かと思いきや、いまだに皆さんの関心が高いことに少し驚きました。
(2) 自社のものづくり補助金で苦戦した過去
私は都内の中小企業に勤めています。実は、診断士の資格取得前の2021年に、自社とお客さんの会社のものづくり補助金を自力で3件申請し、すべて採択された経験があります。
外部コンサルに頼らず補助金の事業計画書を書くのはかなり大変でした。公募要領に出てくる用語も知りませんでしたし、どういう構成で書くかもわかりませんでした。
きっと、補助金に興味がある他の企業のみなさんも「なんか難しそう…」「何から手をつけたらいいのかわからない…」とつまづいてしまっているのではないかと思います。
そこで、補助金の事業計画書の内容としてよく問われる自社分析と環境分析の方法を実践的に学べるセミナーを企画しました。
2. セミナーの内容
(1) 構成
90分のセミナーで、ワークの時間を15分、休憩を5分と想定して以下のような構成にしました。

「まとめ」のあとに、補助金申請のスケジュールと、主な補助金の紹介も行いました。
(2)セミナーのねらい
「ねらい」をどう伝えるかがいちばん悩みました。SWOT分析ができたところで補助金の事業計画書が書けるわけではありません。でも、自社の強み・得意分野や事業環境がわかると、今後目指すべき方向性のヒントになります。
そのため、「セミナーの内容は補助金の事業計画書にも活用できるけど、補助金申請に関係なく自社のことをもっと知るためにワークに参加してほしい」と強調しました。


(3) 自社分析・環境分析が大事な理由
補助金に関係なく取り組んでほしいと伝えたものの、みなさん補助金への関心が高い様子でした。そこで、実際の補助金資料を見せながら「自社分析・環境分析は事業計画書で毎回聞かれる内容だから大事なんだ」ということを理解してもらいました。

事業再構築補助金の公募要領に、「強み・弱み・機会・脅威」について書いてください、とあります。今見ればSWOT分析ってわかるのですが、私は診断士の勉強を始めるまでこれがSWOTと呼ばれていることすら知りませんでした。
他の補助金でも、「自社の強みをふまえて〜」とか「市場ニーズを分析したうえで〜」などの文言が常に出てくるので、SWOTのフレームワークを使って事業者さんに自社分析・環境分析をしてもらうことにしました。
(4) 自社分析のやり方:SWOT分析(強み・弱み)
ここから強み・弱みの説明とワークに入ります。「自社の強みを書いてください」と言われてもすぐには答えられない方が多いと思い、さまざまな観点からキーワードを列挙してみました。商品・サービスそのものの魅力に加え、販売・流通面、組織面、設備面での強みなどです。


具体的にイメージしやすいように身近な製造業・シヤチハタ株式会社さんの強みを例示してみました。なぜシヤチハタさんを選んだかというと、AIに「BtoBで有名な中小企業(製造業)を10社挙げて」と聞いたら出てきたうちの1社だったからです。自宅にちょうどネーム印と衣類用インクもあったので写真も用意できました。
天秤 AIで複数のAIモデルにシヤチハタさんの強みを挙げてもらった結果がこちらです。

ここからワークの時間を設け、事業者さんに「強み」を書き出してもらいました。強みって一人で考えてもなかなか思い浮かばない(気づかない)ので、商工会の方にも手伝ってもらいながら事業者さん一人ひとりにお声がけしていきました。

お話しして思ったのは、皆さんが当たり前だと思っていること(品質へのこだわりなど)や、お客さんが来る理由(自社でなんでもやっちゃう=オーダーメイドの対応力など)に、たくさん「強み」が詰まっていることでした。
そして、それをうまく引き出して言葉にするのが支援者に求められていると感じました。
同様に、弱みも考えてもらいました。シヤチハタさんの弱みの例も出しました。
(5) 環境分析のやり方:SWOT分析(機会・脅威)
環境分析は、PEST(政治・経済・社会・技術)の観点から大きな流れをつかむことを目標にしました。

外部環境の変化は、ある企業にとってはマイナスだけど自社にとってはプラスになることも、またその逆になることもあります(円高・円安とか)。ここでは機会と脅威を同時に検討してもらいました。
SWOT分析の最後に、強み・弱みと、機会・脅威をかけ合わせて新規プロジェクトをやるとしたら、どの組み合わせがしっくりくるかを考えてもらう「まとめワーク」を用意しました。ここでもシヤチハタさんを例示させてもらいました。

(6) 事業計画書への落とし込み
ここから、自社の強みや環境分析の根拠を事業計画書に落とし込んでいく方法を説明しました。
中小企業庁のミラサポplusから事例をご紹介しました。開発実績を自社の強み、顧客の声を身近なニーズ(外部環境)として計画書に反映させた企業さんです。

また、統計データや業界動向の情報源となるサイトも紹介しました。

(7) まとめ
まとめスライドでは、今回学んだ自社分析や環境分析の結果を補助金の計画書や自社事業の見直しなどに活用してほしいと述べました。

このスライドの後に、補助金の一般的な説明(助成金との違いや申請スケジュール)と、今後募集のある補助金を紹介して終了しました。
スライド枚数は表紙を含めて39枚でした。
3. セミナーを受けた皆さまの反応
当日は、例年の2倍以上(※商工会の方のお話)の参加があり、無事に終えることができました。
ワークの時間は、近くの席の事業者さん同士で話し合ったり、一生懸命キーワードを書き出したりしながら主体的に取り組んでいただけました。
私自身も、かなり力を入れて準備したかいがあり、参加者の皆さまから好意的な反応をいただけたのがとてもうれしかったです。
参加者の方と商工会の方の声を紹介します。
■参加者さんの声
「大変役立つ内容だった」
「講師の説明方法や対応が非常によかった」
(アンケートの回答)
「もう少し早く知っていたら、先日自費で導入した機械に補助金が使えたかも知れないと思った」
「初めてとは思えない、わかりやすいセミナーだった」
(事業者様に直接聞いたお話)
■商工会の方の声
「皆さんがワークに積極的に取り組んでいる姿を見て感動しました。」
「これから各種補助金等が出始めることと思いますので、皆さんが関心ある中、説明が非常に分かりやすく、今後の実践に活かせる内容でございました。」
商工会の方からのコメント
4. 最後に
ここまで、この題材を選んだ経緯やセミナーの構成をご紹介してきました。今回のコンテンツのベースとなったのは、診断士試験で学んだことや勤務先での経験でした。セミナーのテーマに悩んでいる方がいたら、私みたいな事例もあるんだと思い出してもらえたら幸いです。
なお、スライド作成にあたっては自分が所属する診断士のコミュニティで5名の方に本気のレビューをしてもらいました。そのおかげでスライドのクオリティがぐんと引き上がったと思います。セミナー/プレゼン上達のコツはフィードバックをもらうことだと身をもって感じています。診断士の先輩方・同期のおかげで成功したセミナーでした。
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